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宮島「重伝建」申請へ

廿日市市は16日、世界遺産の島・宮島の中心部を国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定するよう、2019年度中に国に申請する方針を明らかにした。今後、エリア内の建物を改修する際の補助制度を創設。当初の計画から制度を拡充し、申請に必要な住民の同意を得る。
島内で開いた住民説明会で報告した。市が想定する保存地区は、町家通り一帯から大願寺、大聖院にかけての16.8ヘクタール。地区内に民家や店舗など約570戸があり、うち江戸時代から昭和初期までに建てられた伝統的建造物は184戸と約3割を占める。
地区内では改修時、町並みとの調和の重視を求める。特に、伝統的建造物については建築当時の姿に戻すよう要請する。
市は15年度、重伝建選定に向けた条例を制定し、作業を本格化した。国は「選定には伝統的建造物の所有者の7割の同意が必要」と指摘。現在、約6割の同意が得られたため、19年度中の申請方針を決めた。
市は6月までに、申請の前提となる、市の伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の都市計画決定を目指す。決定に合わせ、エリア内の建物を改修する際の補助制度を設ける。伝統的建造物については上限800万円を1千万円に引き上げるなど当初の計画から拡充し、所有者の理解をさらに広げる考えだ。重伝建に選定されれば、制度の財源は国から補助される。
市は21~23日にも島内で説明会を開く。市都市計画課の明神忍・歴史まちなみ担当課長は「宮島の町並みを後世に残すため、丁寧に説明し、理解を得ていく」と話している。
【中国新聞 2019.01.16】

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町家通りの町並(2014年撮影)

宮島の町並を重伝建にという動きは結構以前からあり、ようやく実現に向けて最終段階を迎えたようだ。
さすがに宮島のこと、重伝建地区にならなくとも、住民の意識や自治体の取組である程度は歴史的な町の体裁が保たれていくものと考えられるが、個々の伝統的建物の維持は限度がある。ここは是非国の制度をよい方向に活用してもらいたいものだ。


# by mago_emon2 | 2019-01-19 21:50 | 重伝建保存地区  

翁座 次代へと寄付

府中市上下町の喫茶店経営、田中善江さん(85)が所有する木造の芝居小屋「翁座」を市に寄付した。大正末期に完成した小屋は、歌舞伎公演や映画上演など娯楽の拠点として親しまれたが、工場として一時使われるなど時代の荒波にももまれた。一家で守ってきた施設が、地域のシンボルとして末永く残ることを願う。
翁座は地元有志が出資し、京都の南座を参考にして1925年完成した。回り舞台や花道、升席などを備え、舞台や花道に通じる床下に「奈落」もある。
戦後すぐ、映画などの興行が仕事だった父の多郎さんが小屋を取得した。歌舞伎のほか、舞台には高田浩吉、鶴田浩二ら著名な役者も登場。映画「君の名は」の上映時には長蛇の列ができた。地域に欠かせない娯楽の場だった。幼少から日本舞踊を舞う田中さんも「100回どころではない」ほど舞台に立った。(以下略)
【中国新聞 2019.01.09】

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翁座(2016.10に公開されたときの様子)

昨年9月の続報。
前回記事:
https://machiissue.exblog.jp/27104158/
それにしても、喫茶店経営の個人所有だったことには少々驚いた。
市が引き継ぐことで、この建物の貴重さ、魅力が身近に人々の眼に触れられるようになることを願うばかりだ。


# by mago_emon2 | 2019-01-10 21:59 | 伝統的建造物  

瀬戸田の堀内邸 宿として再生 21年に開業

尾道市瀬戸田町にある明治初期に建てられた「堀内邸」を活用した宿泊施設が、2021年に開業する見込みとなった。市が、ホテルの経営やコンサルティング業を営むナル・デベロップメンツ(京都市)と土地建物の売買契約を結んだ。瀬戸内しまなみ海道の中心部にある立地を生かし、地域への滞在時間の延長を目指す。
海外からの来訪者を含め、サイクリストなど幅広い観光客を対象とした宿泊施設を予定する。地元客も利用できる入浴施設の整備も検討している。
市は11月、土地2287平方メートルと母屋など11棟延べ1123平方メートルを、ナル・デベロップメンツに2630万円で売却する契約を結んだ。同社の早瀬文智代表取締役は「瀬戸田はしまなみ海道のほぼ中間にあり、滞在拠点として理想的」と説明。具体的な活用策は「建物を調査して計画を詰める」とする。
ナル・デベロップメンツは、瀬戸内7県の地銀などでつくる瀬戸内ブランドコーポレーション(広島市中区)から、堀内邸の紹介を受ける事業を提案。瀬戸内ブランドコーポレーションは共同提案者として、情報発信などで提携する方針。
堀内邸は瀬戸田港に近い「しおまち商店街」沿いに立つ。製塩業や海運業を営んだ堀内氏が1876年に建てた。17年に堀内氏の子孫から寄付を受けた市が、活用する民間業者を公募していた。
瀬戸田港には、19年1月から「サイクルシップ・ラズリ」が尾道との定期航路に就航する。市政策企画課の坂本里美課長は「生口島全体の活性化につなげたい」と話している。
【中国新聞 2018.12.26】

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堀内邸(右)

堀内邸に関する1月の続報で、具体的な動きについて明らかになった。宿泊施設という用途は前回も示されていたので、構想通り順調に進められているようだ。本格的な実現を待ちたい。
ただ、こうした民間業者の企画はややもすると一過性のものに終り短命に終わることも少なくないやに感じている。そうならないように願いたいと同時に、宿泊者以外の一般の訪問客にも貴重な建物の内部を見学できるように整備していただきたいものである。


# by mago_emon2 | 2018-12-27 21:58 | 伝統的建造物  

被覆支廠 平和学習拠点に

広島市内で最大級の被爆建物「旧陸軍被覆支廠(ししょう)」(南区)について、建物の一部を所有する広島県が大規模な改修案をまとめたことが4日、分かった。敷地内に新たな建物を建てて見学者が被爆証言などを聞く場所とするほか、車両の出入り口や駐車スペースも新設する。活用策が長い間、宙に浮いていた被爆建物は、被爆の実態を伝える平和学習の拠点としての役割が明確になる。
県の改修案によると、見学者用の建物は、最も北側にある1号棟と、すぐ南隣の2号棟の間に建てる。広さ約130平方メートルの平屋で、説明用のスペースやトイレなどを備える。現在は市民団体が屋外で催している「被爆証言を聞く会」の会場としたり、修学旅行で訪れた小中高生が利用したりすると想定する。
車両の出入り口は、1号棟と2号棟の間やその周辺にあるれんがとブロック製の塀を撤去して設ける。駐車スペースは、1号棟の北側に数台分を確保。車で訪れる人たちを受け入れる環境を充実させる。
併せて、1号棟を集中的に補修する方針も盛り込んだ。6月以降、専門家の意見を聞きながら進めてきた工法調査に基づき、雨漏りするなど劣化が激しい屋根や外壁を補強する。雨水を敷地の外に流すための排水路も新たに整備する。
一連の事業費は概算で3億8千万円を見込み、着工から完了までの工期は1年半程度と想定している。改修案を具体化するための財源の確保などが順調に進めば、2020年度には新たな姿を見せることになる。
被覆支廠の見学は現在、事前予約が必要。近年は被爆の爪痕を残す倉庫群に学ぼうと、主に修学旅行生の訪問が増加している。市民団体「旧被覆支廠の保全を願う懇談会」の中西巌代表(88)=呉市=は「声なき被爆者である建物の歴史を広く知ってもらうための大きな一歩だ」と歓迎する。
被覆支廠は、旧陸軍兵の軍服や軍靴を製造する施設として1913年に完成した。県は00年、ロシア・エルミタージュ美術館の分館誘致の候補地と位置付けたが、06年に断念。その後は活用方針を示せないままだった。
【中国新聞 20018.12.05】

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旧陸軍被覆支廠

声なき被爆証人であるとともに、建造物としても貴重な存在であるこの旧被覆支廠。外来客の訪れが多い地区でもなく、また目立たない位置にあることからまだまだ知られていない建物群である。一般の見学客を受け入れるには、構造強度など数多くの問題を解決しなくてはいけないようで、私もまだ一度も内部を見学したことがない。
このような古い建造物の保存は、それに至るまで非常に時間がかかることが少なくない。原形を出来るだけ崩さず、迅速に一般公開に向けて動いていただきたいものだ。


# by mago_emon2 | 2018-12-06 22:38 | 伝統的建造物  

白壁土蔵群 復旧道半ば

鳥取県中部を襲った最大震度6弱の地震から21日で2年になる。最も被害が大きかった倉吉市では、白壁土蔵群と赤瓦の町並みで知られる打吹玉川伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の復旧作業が続いている。
対象の建物の7割近くが損傷し、うち修理工事に着手したのは6割余り。所有者の高齢化や修理業者不足が課題となる中、市などは2019年度完了を目標に、県内有数の観光地の再建を急ぐ。
国選定の伝建地区は9.2ヘクタール。商工業で盛えた江戸時代から昭和初期にかけての商家が連なる。保存対象の「特定物件」は白壁の土蔵や主屋、離れなど350棟あり、全国の伝建地区で3番目に多い。個人所有が多く、住宅や商店、飲食店、工房に使われている。
16年10月21日午後2時7分、倉吉市は震度6弱を観測。特定物件の67%の234棟で、漆喰の白壁の崩落やひび割れ、屋根瓦の崩落やずれ、建物の傾き、内壁の損傷などが生じた。
市教委などは、800万円を上限に修理費の80%を補助する文化庁の制度を活用し、改修を呼びかけた。それでも一定の個人負担が生じるため「自分の後に住む人がいない」「商売を続ける気はない」という高齢の所有者たちの説得に苦心した。市教委文化財課の根鈴千津子課長は「当初は建物を解体したいという声が目立った」と振り返る。
業者不足による工事待ちも相次いだ。展示施設として賃貸する建物の屋根が破損した自営業小林宣之さん(61)は、今月上旬にようやく着工し、来月中に完了する予定だ。「雨漏りがひどかったが、業者不足で両隣の住家の工事が遅れ、作業ができなかった」と話す。
9月末までに、被災した234棟のうち135棟の修理が完了。工事に着手済みの15棟を合わせると64%となる。根鈴課長は「ここまでは順調だが、所有者が遠方に住んでいたり、数棟を所有し主屋以外に手が回らなかったりするなど、難しいケースが残る。工事が遅れれば建物が雨風にさらされて傷む」と懸念する。
同地区の17年の観光客は65万人。石田耕太郎市長は「倉吉を支える財産。息長く使ってもらえるようお願いしたい」と、所有者の説得に力を入れる考えだ。
『中国新聞』2018.10.20
※漢字表記等は記事原文のままとしています。

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補修工事を受ける家屋(2017年6月撮影)


倉吉の重伝建地区というと白壁土蔵というのが対句のようだが、それらは商家裏手の土蔵であって、表通りには見応えのある商家群があることを忘れてはならない。
それはそうと、私は一昨年から昨年にかけて業務の都合でしばしば倉吉に足を向けた。そのため地震後の町並の姿も度々眼にしている。
長い期間屋根にブルーシートが掛ったままなのを見て心痛んだ一方、足場を設置し修理中の旧家もあちこちで眼にし、わずかながらも復旧に向けて歩んでいると安心した。
しかし保存地区にあって、住んでいる人や所有者と保存しようとする側の意識に、乖離やずれが生じているのか。
地震被害を受けたことで、それが露呈しているようにも感じる。
保存地区に住まわれている人全員が建物・建物群に文化財的価値を感じているかといえばそうではないだろうし、難しい問題ではある。
何はともあれ、訪ねる側としては地震前の家並風景に早く復してもらいたいものだ。


# by mago_emon2 | 2018-10-20 21:43 | 重伝建保存地区