カテゴリ:伝統的建造物( 29 )

 

府中市、「翁座」取得へ

府中市は11日、上下町にある大正末期に建てられた木造の芝居小屋「翁座」の取得交渉をしていることを明らかにした。白壁の町並み一帯の代表的な建物の一つ。保存と地域活性化への活用を図る。
市議会総務文教委員会で示した。市は「歴史的な価値があり、重要な観光資源。保存活用のために取り組む」と説明。建物と土地のそれぞれの所有者と交渉中で、2018年度末までの取得を目指す。取得後は耐震、防火対策を実施して活用する方針。
白壁の町並みの北端にある翁座は、地元有志の出資で大正末期に着工し、1927年に開場した。回り舞台や「コ」の字の2階桟敷席、縁が丸みを帯びた天井などを備える。かつては歌舞伎が上演され、戦後は映画館としても使われた。上下高演劇部員だった俳優の故平幹二朗さんも足しげく通ったという。
現在はまちづくり団体が管理し、天領上下ひなまつりなど地域の行事に活用している。市は「地域のランドマークの一つで地域振興を考える上で欠かせない施設」としている。
【中国新聞 2018.09.12】

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翁座は全国的にも貴重な芝居小屋建築で、回り舞台や「すっぽん」などの仕掛けがそのまま残り、また観客席も往時のまま保存されている。この小さな町に残ることは非常に価値のあるものだ。ただ消防法上の問題が解決されていないとかで、常時公開はならずイベント時の特別公開を待つしかないのが現状。もっと多くの人に接してほしい、そしてまたここで芝居が復活してほしいものだ。

上下の地元の方々の古い町並や建物の貴重さをとても認識しておられる姿勢は、いつも感銘を受けている。市の管理になることで、それらの実現に向けての具体的な動きを期待したい。

これは2016年秋の町並イベント時の様子。専属の係員による説明もありよく理解できた。










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by mago_emon2 | 2018-09-12 22:09 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

旧日銀広島支店の復元工事 3度目も入札不調

広島市が被爆建物の旧日本銀行広島支店(中区)を、1950年代の復旧工事後の姿に復元して博物館にする事業で、4日に実施した入札が不調だったことが分かった。入札不調は3度目で、建設業に広がる人手不足の影響を受けた。予定していた2019年度の完成は困難な見通しで、市は事業内容やスケジュールの再検討を迫られている。
旧日銀広島支店は市重要文化財。復元工事では文化的価値を高めるため、被爆時にガラスが刺さった跡が残る壁などを保存し、後で取り付けた天井板や床材を撤去したり、壁を塗り直したりする。市は4日、文化財補修の実績がある大手ゼネコンなど11社を対象に指名競争入札をしたが、応札がなかった。
17年10月の最初の入札では1社が応札したが、再入札を含めて予定価格を上回った。18年3月は応札がなかった。市などによると、20年東京五輪の関連行事による人手不足に加え、リニア中央新幹線に関わる談合事件などで大手ゼネコンの指名停止が相次ぎ、入札への参加業者が減ったことも影響したとみられる。
工期は当初、17~19年度の3ヵ年だったが、18~19年度の2ヵ年に変更している。今回の不調で、さらなる見直しは必至となった。
市文化スポーツ部は「すぐに入札をやり直しても状況は変わりそうにない。時間をかけ、工事内容や事業の進め方などを再検討したい」としている。
旧日銀広島支店は1936年建設で、鉄筋3階地下1階延べ3214平方メートル。爆心地の南東約380メートルにある。改修後は2、3階部分に海外移民の歴史などを紹介する博物館を設けるほか、国重要文化財への指定を目指す。
【中国新聞 2018.09.08】


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日銀広島支店の外観及び内部(2010年撮影)


旧日銀広島支店、被爆建物としても近代洋風建築としても非常に価値があり、しかもそれらを代表する建物といえるだろう。
建物自体は公開されており、時折企画展なども行われているが、十分活用されているとも、また貴重な建物として認知されているとは今ひとついえないものがある。
建築・土木業界の現場作業員の人手不足は近年深刻で、入札不調という言葉はあちこちで耳にする。
しかしこの業務では市はもしや、予定価格を低く見積していやしないだろうか。
それに大手業者でないと施工不可能な工事内容なのか。
その辺りの詳細が不明なだけに、もどかしいことである。

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by mago_emon2 | 2018-09-08 22:30 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

吉原家住宅の公開休止

尾道市向島町にある国重要文化財「吉原家住宅」で、日曜・祝日に14年間続いてきた定期公開が、6月から休止となった。築380年を超える豪農屋敷を後世に伝えようと、ボランティアで案内を担った住民グループ「吉原家住宅を守る会」が、メンバーの高齢化で解散した。
吉原家は江戸期に近隣5村の庄屋を世襲で務めた。母屋は1635年築。かやぶき屋根の寄せ棟造りで、はりや柱に異なる木を使っている。1991年、納屋などとともに国重文に指定された。
守る会は2004年、住宅の歴史を広く伝えようと発足。第39代当主の吉原久司さん(68)=同市向東町=の許可を得て、日曜・祝日に門と住宅の鍵を開け、訪ねる人を案内してきた。しかし、20人以上いたメンバーは高齢化などで8人に減少。活動が難しくなり、今年5月27日の公開を最後に解散した。
ゴールデンウィーク時には、県内外から毎日10人以上が訪れたという。守る会メンバーだった藤田久登さん(88)は「解散は残念だが、住宅の歴史的価値を次世代が伝え続けてほしい」と願う。
吉原さんは「母屋の屋根に傷みが出ており、補修を検討する。見学希望の相談には個別に応じたいと話している。
【中国新聞 2018.06.02】


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吉原家住宅


この吉原家住宅は昨年訪ねており、この時もボランティアガイドの方に詳しく説明いただき充実の訪問となった。
拙サイトでもその時の模様を掲載している。
 http://www.kyoshu-komichi.com/jyuyobunkazai15.html

厳かな外見はもちろん、外見内部も収穫したものを貯蔵しておく地下室など非常に貴重な文化財といえるのだが、ガイドの高齢化により公開そのものも中止してしまうとは寂しいことだ。
ガイドする係員無しで受付だけといった形でも難しいのだろうか。
やはり重要文化財の建物は、公開され見学できる状態にしてほしいものである。


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by mago_emon2 | 2018-06-03 16:25 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

被服支廠補修4億円

広島市内で最大級の被爆建物で、具体的な保存・活用策が決まっていない旧陸軍被覆支廠(ししょう・南区)について、広島県が、現存4棟のうち1棟を対象にした本年度実施した現地調査に基づく補修や耐震化の概算費用が17日、分かった。対象の1棟について4パターンで試算し、劣化防止の補修で約4億円、耐震化で約12億~33億円かかるとした。県は、補修を前提に、この1棟の活用策を探る方針を固めた。
県は4棟中3棟を所有。最も北側の1号棟の柱や鉄筋、れんがを抽出して強度を調査し、1号棟の改修パターンと費用を①外観を保全する補修が約4億円②内部の一部活用を想定し、全体を耐震化が約23億円④博物館など内部の全体活用を想定し、全体を耐震化が約33億円―とした。
①の補修は、雨どいや排水管などの防水設備、屋根瓦の劣化を食い止める対策などを施す。県は当面、1号棟の補修を前提として、建築の専門家たちと効果的な工法を2018年度に検討。現時点で補修を予定しない他の所有2棟を含め、見学者たちを呼び込める活用策を引続き進める。
県は、1996年の調査で1棟全体の耐震化に約21億円、博物館として活用する場合に約36億円かかると試算。今回の調査では、耐震工法の進歩などでコストが下がることも期待していたが、数億円の縮減にとどまった。
被覆支廠は、ロシアのエルミタージュ美術館の分館誘致構想が白紙になった06年以降、具体的な活用策の検討が停滞。県が昨年8月、活用策の検討に向けて約21年ぶりに現地調査に乗り出していた。
【中国新聞 2018.01.18】
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この被服支廠の建物群、時折市民団体の主催などで見学会が催されているが、安全性から内部見学は定員制であることもあって人数制限があり、私も参加できていない。それだけ関心も高い建物といえる。
活用のレベルと費用、それを高いと見て回避するか、価値があるものと踏みとどまるか。
折しも呉市に残る青山クラブの建物も、複数案で検討した結果全面保存の方向で動き出すという話題があった。
この被服支廠は保存する価値としては、さらに高いものがあるはずだ。





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by mago_emon2 | 2018-01-20 23:01 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

堀内邸 訪日客観光拠点へ

尾道市は、かつて塩づくりで栄えた同市瀬戸田町の豪商の屋敷「堀内邸」を観光拠点として活用する方針を固めた。堀内邸は明治初期の建築で、昨年11月に所有者が市に寄付した。市は、増加する訪日客向けの宿泊施設などとしての利用を想定し、年内にも具体的なアイデアを公募する見通し。既に複数の民間事業者が関心を示しているという。

堀内邸は瀬戸田港に近い耕三寺の参道の「しおまち商店街」沿いに立つ。製塩業や海運業を営んだ堀内氏が1876年に建てた。1950平方メートルの敷地に木造一部2階建ての母屋、土蔵、茶室などが配されている。建物の延べ床面積は計約750平方メートル。堀内氏の子孫が市に寄付した。
市は、同町を通る瀬戸内しまなみ海道のサイクリング人気を背景に、堀内邸を活用すれば訪日外国人の集客を促すと判断。まず2018年度は、老朽化が目立ち活用が難しいとみる茶室(11平方メートル)の解体に着手する。
市は並行して、運営委託なども念頭に、民間の資金とノウハウの導入の検討を進める。近年、堀内邸には民間事業者の視察が相次いでおり、年内にも活用のアイデアを募る。関係者によると、瀬戸内海沿岸7県の観光産業の活性化に取り組む官民組織「せとうちDMO](広島市中区)や、東京のホテル運営事業者などが関心を示しているという。
堀内邸を巡っては、過去にも一般公開など観光資源としての活用を求める声があった。しかし、敷地が広くコストがかさむため頓挫した経緯がある。市瀬戸田支所の田坂昇支所長は「瀬戸田町にも夏を中心に訪日客の姿が目立つようになった。堀内邸の活用でさらに集客力を高めたい」と話している。
【中国新聞 2018.01.09】

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瀬戸田の港に近いこの堀内邸は周囲に圧倒的な存在感を示す旧家で、私が最後に訪ねた時は現住の状態だった。
しまなみ街道が出来てからは耕三寺を訪れる客も通過しなくなり、この界隈はひっそりしている。この邸宅がなくなると、港町としての町並の顔を失うことにもなるため、状態の良いうちに何らかの活用が見込めそうなこの記事を見て、安堵感を抱いた。
しかし、ターゲットを訪日客に絞るというのは如何なものか。
それが最も採算的に成立すると見込まれることから最有力案なのだろうが、常時でなくとも一般に見学できるようにするなど、広く瀬戸田のシンボルとして知られるものになってほしいものである。


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by mago_emon2 | 2018-01-10 22:41 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

呉の青山クラブ 活用4案

呉市は、旧海軍ゆかりの施設だった幸町の青山クラブの整備、活用方針4案をまとめた。建物の解体や一部保存、全て保存などの場合に分け、事業費も推定した。市は「来年早々にも最終的な方向性を示し、活用方針を決めたい」としている。
案によると、事業費は、建物全てを解体するなら約5億円、北側の外壁の一部だけを残すには約6億円かかる。いずれもイベントスペースとしても使える駐車場を設け、大和ミュージアムの関連施設の整備を検討する。
建物を残す案は2案示した。いずれも耐震診断やニーズの調査を実施。呉の歴史や文化、特産品の情報を発信する拠点、市民が利用できるフリースペース、宿泊施設などの活用を検討する。
うち建物北側を3分の1程度保存する案の整備費は約15億円。向こう30年間の維持管理費は約12億円となる。建物全てを保存するためには、整備費約30億円が必要で、同じく維持管理費は約28億円とみる。
青山クラブは、地元のNPO法人が提案書を出すなど、建物の保存、活用を求める市民の声が根強い。市企画課は「議会の意見を聞き、市民の提案も参考にしながら方向性を探る。にぎわいの拠点に活用したい」とする。
市は国から本年度の買い取りを目指しているが、手続きには事前に活用法を決める必要がある。同課は、「取得は来年にずれ込む可能性がある」という。

(補足記事)
1903年に旧海軍の集会所として創立。昭和初期に鉄筋で地上3階、地下1階の現在の建物が建設された。宿泊施設やボウリング場などを備えていた。大ヒットしたアニメ映画「この世界の片隅に」にも登場する。市は隣接する桜松館をレストランやカフェなどで活用する方針も示している。

【中国新聞 2017.12.21】

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呉市はここ最近急速に外部からの訪問客が増えた。私の昔から知っている呉は、湾岸部の工業地帯に人口も減って活気のない市街というイメージでしかなかった。
さらに、この建物の再活用への気運の高まりは、外部の人々の呉への関心が強まったこと、そして「この世界の片隅に」によるところが大きい。個人的には普段アニメ映画は見ないが、大きな貢献に感謝したい。
記事のように全体はもちろん一部保存でも大変な整備費、維持管理費が必要となる。
何とか残す方向に動いてもらいたいものである。


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by mago_emon2 | 2017-12-21 21:50 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

尾道3小 進まぬ耐震化

尾道市中心部の3小学校(久保・長江・土堂)の校舎耐震化について、市教委の方針決定が遅れている。2016年度中の決定を目指したが、敷地が土砂災害警戒区域に指定される可能性などが出て先送りに。一方で、戦前に建てられたコンクリート建物の景観的価値を指摘する声もある。

同市立の小中学校は約40校。3校を除き、いずれも耐震化を終えるか、めどが立っている。市教委は市議会などで、16年度中に3校の耐震化の方針を決めると説明してきた。
3校とも経年劣化で鉄筋の腐食などが進む。市教委が14~16年度に実施した診断では、久保小(1933年築)は耐震補強可能の判定。長江小は管理教室棟(64~66年築)がコンクリートの弱い部分を壊せば補強可能、特別教室棟(67年築)は補強不可能と判定された。土堂小は37~64年築の3棟がいずれも補強可能だった。
だが、市中心部の斜面地にある3校は、工事車両の進入路や仮設校舎建設の際の代替グラウンド確保などの課題がある。市教委の安藤文夫学校施設整備担当主幹は「工事による住民生活への影響も考えなければならない」とする。
さらに、広島土砂災害を踏まえて県が進める調査で、土砂災害警戒区域などに指定される可能性もある。「災害時の避難所としての適正も考慮する」と安藤主幹。県は市教委の要望を受け、18年度に予定する3校学区の調査を前倒しする検討を進めている。市教委は調査結果を待ち、方向性を決める方針だ。
市教委は当初、久保小と土堂小が歴史的建造物であることを考慮し、外観に影響を与えない耐震補強を模索していた。現在は外観にこだわらない形で検討している。
歴史ある建物は尾道の景観をつくってきた。福山市立大都市経営学部の西川龍也教授は「土堂小は中世から現代までが混在する尾道らしい街並みの一部。校舎の下を生活道路が走る景観も独特」モダンな外観で、御影石製の手すりなどを備える久保小についても「文化財として活用する価値がある」とする。
西川教授は「安全性が重要」とした上で、「他の自治体では博物館に転用するなどの例もある。斜面地全体のビジョンを持つべきだ」と訴える。市教委の松尾寛教育総務部長は「市の考えを押しつけるのではなく、地域の方々と一緒に考え、理解を得ていきたい」と話す。
【中国新聞 2017.05.14】
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土堂小(2016.6撮影)

学校建築というのも、例えば明治期に建築された一部の建物は国重文にもなるなど、時代の先進を象徴するもの、地域のシンボルでもあったことで保存の対象になる事も少なくない。
昭和に入ってからの学校建築でも、洋風建築的価値のあるもの、また戦災復興などの目的別の貴重さから、もはや伝統的建造物としての価値を持っているものも少なくない。
加えて地域の住民にとっては、この建物で学んだという思い入れは他の建物よりひときわ強いのは言うまでも無く、建て替えには抵抗を覚える人も多いだろう。
いうまでもなく耐震性は低いこれらの建物、建設当時とは違い周囲に施工が困難といった個別の事情もあり、残すことを最優先というのはやはり様々な困難があるのだろう。
残すかなくして新しくするか、自治体の采配いかんとなるのだろうが、私の個人的な思いとしてはやはり残す方向で考えてほしい。


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by mago_emon2 | 2017-05-14 20:55 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

賀茂鶴・白牡丹の関連施設 国登録文化財へ

10日の文化審議会の答申で、東広島市西条地区の酒造2社の関連施設29件が国の登録有形文化財に登録される見通しとなった。昨年8月に登録された5社42件と合わせ、同地区にある酒造全7社の施設がそろった。
いずれも江戸中期から昭和期にかけて造られた。賀茂鶴酒造は、木造2階建て洋館の本社事務所やれんが造りの煙突4本など19件が登録される。藤原昭典社長(64)は「まちづくりや観光に生かしたい」と喜んだ。
白牡丹酒造は、延宝蔵南端棟や大正期に建てられた町家の母屋など10件が認められる。島治正社長(51)は「施設を守り続ける責任の重さを痛感する」と話した。
こうした文化財は、一帯が宿場町から酒造地に変遷した歴史を伝える。市教委は今後、同市黒瀬町などの酒造関連施設の登録も目指す。
【中国新聞 2017.03.11】
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賀茂鶴酒造事務所

西条の酒造地区は、私個人的な感想では古い町並としての魅力よりも酒都の観光要素としてのイメージが勝ってしまっていて、少しランクは下がってしまう。しかし個々の酒蔵や事務所、煙突のある風景は独特のもので、それらが登録文化財として認められたのはうれしいことだ。
これらの建物があることで酒どころとしての価値も高まると思う。希望を言えば駅を挟んで西側の街道沿いの伝統的建物も巻き込んでの動きを期待したい。


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by mago_emon2 | 2017-03-11 22:37 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

廉塾 19年度から整備


江戸期の儒学者菅茶山が福山市神辺町に開いた廉塾と、茶山の旧宅の保存活用計画案を、同市教委が1日、示した。国の特別史跡で、江戸中後期の教育環境を伝える希少な史跡として、当時を追体験できる空間づくりや、周辺の文化財と連携した活用を進める。2019年度から5年間で整備をする方針。
市内であった策定委員会の最終会合で説明した。計画案によると、史跡内を建造物、菜園、緑地の3エリアに分けて保存。現存する講堂や寮舎、米蔵などは、傷みが目立つ床や壁、屋根を修復する。史跡内には説明板やベンチを設け、情報通信技術(ICT)を使った案内も検討する。
近くの県史跡・神辺本陣跡や茶山の墓の保存にも取り組み、近世山陽道の町並みと合わせて活用する。整備には、今後実施する発掘調査の結果も反映させる。付近にあり、茶山が初めに開いたとされる別の私塾跡などの追加指定も検討する。
ほかに計画案は、所有者が担っている史跡の管理について、将来的に市が担う検討も必要とした。
委員の一人で、住民たちでつくる菅茶山顕彰会の鵜野謙二会長(77)は取材に、「保存活用を通じて史跡の価値を高め、地域の魅力の発信につなげてほしい」と話した。
広島県内の国特別史跡は廉塾と厳島(廿日市市)だけ。福山市が17年度の申請を目指す日本遺産のストーリーづくりの中心的役割が期待されている。
【中国新聞 2017.02.02】

d0328255_00073219.jpg廉塾の講堂(上)と旧神辺本陣













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神辺のこの周辺は旧山陽道沿いに面し、例年秋に街道沿いでイベントが開催される。このときには廉塾と旧本陣の建物内が公開される。
一昨年私もこのイベントを訪ねたが、両建物ともかなり痛んでいるのが気になった。
方針というのだからまだ決定ではないのだろうが、一旦公言した限りは必ず実行して貰いたいものだ。
この二つの建物の存在は山陽道沿いの古い町並を訪ねるにあたっても、その価値がとても大きいものだ。
できることなら、健全な姿で常時公開されることを望む。


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by mago_emon2 | 2017-02-04 00:17 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

被服支廠の保存活用検討

広島市内で最大級の被爆建物、旧陸軍被服支廠(ししょう、南区)について、現存する4棟のうち3棟を所有する広島県が、活用の検討のため、耐震性や補強方法を調査する方針であることが10日、分かった。2017年度当初予算に関連費2200万円を計上する見通し。部分保存なども含め、今後の在り方を幅広く探るための基礎資料とする考えだ。

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被服支廠は、県が06年9月にロシアのエルミタージュ美術館の分館誘致構想を見送って以降、具体的な保存・活用策の検討が進んでいなかった。最大のネックは耐震化費用。1996年の調査では1棟当たり21億円と試算していた。ただ、複数の関係者によると、技術の進歩などで、より安価に強度を高められる可能性が出てきたという。
被服支廠は、45年8月6日に投下された原爆の爆心地から南東約2.7キロ。爆風でゆがんだ鉄製の扉など被爆の爪痕が残る。建物内は被爆者の救護所にもなった。今回の調査は、最も爆心地に近い県保有の1棟を対象に、コンクリート製の柱や鉄筋の劣化度をチェックし、状態を詳細に把握。耐震診断をし、補強方法などを検討する計画でいる。
近年は修学旅行の平和学習の行程に組み込まれるケースも増え、15年度は敷地内の見学者数が過去最高の848人に上った。
市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」代表で、建物内で被爆者の救護に当たった中西巌さん(86)=呉市=は「被爆の『生き証人』として原爆の参加を伝えており、活用に向け一歩前進だ」と歓迎。「被爆者が亡くなる中、その価値は増している。具体的な活用の弾みにしてほしい」と期待している。
【中国新聞 2017.01.11】

旧陸軍被服支廠については、昨年も11月に敷地内が公開され、内部の見学ツアーも行われた。修学旅行で訪れる生徒もいるとは私は知らず驚いた。それだけ価値のある建物ということでもある。
表面は煉瓦で覆われているが躯体そのものはRC造りで、建築当時としては非常に先進的なものだったというが、近年は有効な利用もされず長らく放置され続けていたこともあって、さすがに経年劣化は否めないところだろう。
どの程度強度の低下が生じているのか、コンクリート構造物としての問題があるのかといった具体的な調査に踏み切るということで、ようやく保存活用に向けて軌道に乗りつつあるといったところだろう。
今後の動きに注視したいところだ。


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by mago_emon2 | 2017-01-11 22:32 | 伝統的建造物 | Comments(0)