竹原市教委は、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されている町並み保存地区(本町)の対象エリア拡大に向けた検討に乗り出す。地区周辺にも歴史ある建物が数多く残っているが、改修の補助や規制がなく取り壊されるケースが増えているため。一帯の住民を対象に、各物件の現状などを訪ねるアンケートを始めた。
江戸期から製塩が基幹産業だった竹原市で、同地区一帯には塩田経営者や商家の住宅が集まった。地区の面積は約5ヘクタールで、1982年12月に県内初の重伝建に選ばれた。現存する約350件の建造物のうち、江戸期の建築が約20件、明治期が約40件。83世帯156人が住む(4月1日時点)。
市は今回、周囲の約10ヘクタールの区域について重伝建の追加申請の可能性を検討する。国の登録有形文化財である旧日の丸写真館(本町)や、市重要文化財の旧森川家住宅(中央)など、貴重な建造物が多く含まれる。
観光客から「どこからが重伝建なのか分からない」と言われるほど広い範囲で風情ある町並みを形成しているが、現時点では周囲には改修などの規制はない。空き家となった物件が取り壊されるケースも増えているという。
アンケートは、市教委と重伝建内の住民でつくる竹原町並保存会が共同で実施する。対象は同地区内も含め、一体の自治会に加入している計436世帯。自宅を将来にわたって残す意思の有無や行政に求める支援策、必要な防災対策などを尋ねる。16日までの回答を求めている。
市教委文化生涯学習課は「歴史ある町並みは竹原の象徴。広範囲で守られるよう。まずはアンケートで重伝建のエリア拡大が可能かどうかを見極めたい」としている。
【中国新聞 2020.11.07】

森川家住宅
港町の町並
竹原の古い町並の中心は本町に代表される商家群だが、森川家住宅のある川を挟んだ西側、南側の港町界隈にも見応えのある旧家・町並が残されている。港町地区は今回検討の対象外のようだが良い動きだと思う。
竹原は近年訪問者が増加したこともあり、面的に保存されることを願いたい。