広島市安佐北区可部地区の住民グループ「可部夢街道まちづくりの会」が、旧街道沿線の古民家の保全に乗り出した。江戸時代の商家などが連なる古い町並みを残すため、所有者と利用を希望する人との橋渡しなどを担う考え。現在は、基本となる古民家数の調査を進めている。
同会は、江戸時代から昭和にかけて建てられた地域の古民家が次々と解体されることに危機感を持ち、昨年4月に「可部古民家情報バンク」を設立。古民家での生活や商いを望む人と、所有者を結び付けることで保全を目指す。
まず古民家数を把握するため、建築士や住民17人で調査チームをつくった。古民家の基準を①おおむね築50年以上②木造の和風建築③屋根が瓦④経年による趣がある―などと設定した。
旧街道約1.6キロの範囲にある17町内会に調査協力の案内を配り、初年度は面積の約3分の1に当たる3町内会で外観を調査。44軒を古民家に認定した。修繕の必要性など保全に向けた具体的なアドバイスを今後練っていく。
バンクを運営する貴船一樹さん(41)は「手間と時間のかかる作業だが、こつこつ続けて古い町並みを守り続けたい」と話している。
【中国新聞 2020.03.24】
可部の町並(右手前の空き地は町家が撤去された跡)
水運と陸運の結節点として多くの商家や町家が建ち並び賑わった可部地区。定期的に町並探訪として訪ねたり、また様子見に通ったりして20年ほどになるが、面影は残っているとはいえ無くなった家々も少なからずある。せめて今残る旧家群は失われる速度が低いものであってほしいものだ。
古い町並地区では毎秋イベントが開かれるなど、地元の意識は高いものの、それが町並や古い建物の保存に直接は結び付くものではない。この活動がその先駆けになってほしいものだ。