府中の「恋しき」主力の飲食店不採算で撤退
店は木造3階建て母屋内の和風レストラン・宴会場。唯一の飲食施設として、福山市内で飲食店を手掛ける夢笛(福山市)が2012年11月から営業していた。同社は「地域の憩いの場を目指してきたが営業継続が困難になった」と説明。運営会社は「再び飲食店をテナントとして募るのかも含め、活用方法を検討する」とした。離れの貸し出しや回廊式の日本庭園の無料開放は続けるという。
恋しきは井伏鱒二や吉川英治ら文豪も滞在し、戦後は社交場としても利用されたが1990年に廃業。運営会社が建物を買い取り、2007年に複合施設として再オープンした。観光振興に力を入れ始めた市も、歴史的価値がある中心部の拠点の一つに位置付ける。
市商工労働課の近藤和成課長は「文化財であり貴重な地域資源。市としてできる支援を検討する」としている。
【中国新聞 2019.04.05】
この建物はかなり前から保存活用の方法が検討されていて、飲食店が入った後に利用したことが一度ある。
もっとも本当の目的は館内を見学することであり、そのためには食事の予約を入れる他なかったわけである。
その数年前、一度だけ忙しくない時間帯に店の方にお願いしてざっと建物内を見せてもらったことはあるが・・。
古い建物の店舗としての再活用。この建物に限らず多くの事例が見られるが、例えば自治体などが買い取って一般公開するなどといった場合と比べると、その建物本来の原形が保たれる確率は低いものになると云わざるを得ない。
ましてやテナントとしてのこのような営業では、当然のことながら利益が残らなければ手放してしまうわけで、当然それは建物の保存云々とは別のことになってしまう。
実際ネットで少し見てみると、レストランとして利用されるにあたり内部の原形が改変されてしまったことへの嘆きの声もあった。
残念というよりこれを機会に建物の魅力をちゃんとした形で伝えることの出来る施設に生まれ変われる良い機会になるよう、私は願いたい。
by mago_emon2 | 2019-04-07 21:06 | 伝統的建造物