白壁土蔵群 復旧道半ば

鳥取県中部を襲った最大震度6弱の地震から21日で2年になる。最も被害が大きかった倉吉市では、白壁土蔵群と赤瓦の町並みで知られる打吹玉川伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の復旧作業が続いている。
対象の建物の7割近くが損傷し、うち修理工事に着手したのは6割余り。所有者の高齢化や修理業者不足が課題となる中、市などは2019年度完了を目標に、県内有数の観光地の再建を急ぐ。
国選定の伝建地区は9.2ヘクタール。商工業で盛えた江戸時代から昭和初期にかけての商家が連なる。保存対象の「特定物件」は白壁の土蔵や主屋、離れなど350棟あり、全国の伝建地区で3番目に多い。個人所有が多く、住宅や商店、飲食店、工房に使われている。
16年10月21日午後2時7分、倉吉市は震度6弱を観測。特定物件の67%の234棟で、漆喰の白壁の崩落やひび割れ、屋根瓦の崩落やずれ、建物の傾き、内壁の損傷などが生じた。
市教委などは、800万円を上限に修理費の80%を補助する文化庁の制度を活用し、改修を呼びかけた。それでも一定の個人負担が生じるため「自分の後に住む人がいない」「商売を続ける気はない」という高齢の所有者たちの説得に苦心した。市教委文化財課の根鈴千津子課長は「当初は建物を解体したいという声が目立った」と振り返る。
業者不足による工事待ちも相次いだ。展示施設として賃貸する建物の屋根が破損した自営業小林宣之さん(61)は、今月上旬にようやく着工し、来月中に完了する予定だ。「雨漏りがひどかったが、業者不足で両隣の住家の工事が遅れ、作業ができなかった」と話す。
9月末までに、被災した234棟のうち135棟の修理が完了。工事に着手済みの15棟を合わせると64%となる。根鈴課長は「ここまでは順調だが、所有者が遠方に住んでいたり、数棟を所有し主屋以外に手が回らなかったりするなど、難しいケースが残る。工事が遅れれば建物が雨風にさらされて傷む」と懸念する。
同地区の17年の観光客は65万人。石田耕太郎市長は「倉吉を支える財産。息長く使ってもらえるようお願いしたい」と、所有者の説得に力を入れる考えだ。
『中国新聞』2018.10.20
※漢字表記等は記事原文のままとしています。

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補修工事を受ける家屋(2017年6月撮影)


倉吉の重伝建地区というと白壁土蔵というのが対句のようだが、それらは商家裏手の土蔵であって、表通りには見応えのある商家群があることを忘れてはならない。
それはそうと、私は一昨年から昨年にかけて業務の都合でしばしば倉吉に足を向けた。そのため地震後の町並の姿も度々眼にしている。
長い期間屋根にブルーシートが掛ったままなのを見て心痛んだ一方、足場を設置し修理中の旧家もあちこちで眼にし、わずかながらも復旧に向けて歩んでいると安心した。
しかし保存地区にあって、住んでいる人や所有者と保存しようとする側の意識に、乖離やずれが生じているのか。
地震被害を受けたことで、それが露呈しているようにも感じる。
保存地区に住まわれている人全員が建物・建物群に文化財的価値を感じているかといえばそうではないだろうし、難しい問題ではある。
何はともあれ、訪ねる側としては地震前の家並風景に早く復してもらいたいものだ。


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by mago_emon2 | 2018-10-20 21:43 | 重伝建保存地区 | Comments(0)  

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