酒都の景観守る新拠点

酒蔵会社7社が集まる東広島市西条の酒蔵地区に、古くて新しい建物が姿を現した。「ヒストリアガーデン」。江戸期の土蔵と明治期の家屋の外観はほぼ改修が終わり、酒都の風情に新たな彩りを加えている。

敷地は約300平方メートル。家屋と土蔵はかつて美容室などとして使われていた。観光客が行交う好立地だが、ここ10年は空き店舗の状態が続いていた。
地元の不動産管理会社が再生し、9月上旬の開業を目指す。新たなテナントと郷土史愛好家の活動拠点などを置く計画でいる。
改修工事の設計に当たった同市の1級建築士山田光代さん(38)は、「町になじむ外観を心掛けた」という。しっくいと杉板で壁面に白と黒をバランス良く取り入れた。出格子窓で西条らしさを演出した。
「古いものを生かしたかった。いいものに仕上がった」不動産管理会社の木村浩男社長(61)はそう喜ぶ。今後、外壁には酒造りに関わる人物のパネルなどを飾り、酒都の歴史を広めていく。
酒蔵地区では、以前から景観のルールづくりが課題となってきた。観光資源として風情ある町並みを残すべきだという意見がある一方、JR西条駅前の一等地にあるため、条例などで制限しにくくマンションやホテルが増えた。過去に景観基準を話し合う場も設けられたが、実現には至らなかった。

ガーデンの改修工事を担った地元建設会社の実森尊信社長(41)は、変る西条の町並みに危機感を持ってきた一人だ。酒蔵や蔵を象徴する煙突が減り、「町の個性が消えていく」と思っていた。
2年前には東広島市青年会議所(JC)の事業で、景観について考えるパンフレットを作った。「古里を見つめ直し、どう受け継ぐかを考えてほしい」と、市内各地の風景の写真を盛り込んだ。
ガーデン改修を通して「景観を守ることは町への愛着を守ること」と改めて感じた。「子どもたちのためにも酒の町の個性を守る。そんな意識を広げていきたい」と願っている。
【中国新聞 2016.08.03】

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酒蔵会社の事務所と煙突

西条の町並は造り酒屋群で形成されるという個性的で貴重なものである一方、特に表立った保存活動は行われずに駅前再開発等によって失われた風景も少なくない。町並の残存度の割に観光地的な雰囲気も濃く、そのバランスは決してよいとはいえない状態といえる。
町並全体としての拠点施設ができるのは画期的なことだ。出来れば、駅の西側に点在する旧山陽道界隈の伝統的な建物を含め、保存意識が高まることを願いたい。

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by mago_emon2 | 2016-08-07 11:41 | 古い町並 | Comments(0)  

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