広島アンデルセン旧館の取り壊し計画

広島市中区の本通商店街に唯一残る被爆建物、広島アンデルセン旧館に浮上した建て替え計画。被爆と復興を体現する歴史的建物は商店街のシンボルでもあるが、維持コストは重く、所有するアンデルセングループ(中区)は苦悩する。
(中略)天窓から外光が差し込み、吹き抜けを太い柱が囲む。銀行だった被爆前の面影を残す店内で、石窯からパンが焼き上がる。創業者の故高木俊介氏は1967年に建物を買い取り、「食卓に幸せを運ぶ」をコンセプトに理想の店を実現。これを全国に広げた。

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広島市は爆心地から5km圏内にある86の被爆建造物を台帳で管理し、このうち66施設は民間が所有している「原爆被害を伝える遺産」として保存や活用の資金を助成する制度を設けている。
制度は所有者の申請を審査し、3千万円を上限に保存工事費用の4分の3を助成する。広島アンデルセン旧館をめぐっては、1994年度の外壁保存工事に約2800万円を出した。
取り壊し計画の動きを受け、市平和推進課は「全く同じ工事内容なら助成できないが、新たな工事なら可能ではないか。具体的な計画を見て判断する」としている。

(「中国新聞」2013.10.06)


被爆地に残る戦前の建物は、他の都市とは違い大変な重みを持つものだ。ここから西に程なき位置に残る代表的な洋風建築・旧日銀広島支店は今後も残るだろうが、市街中心部にあってその双璧といえるこの建物の保存の将来が揺らいでいると聞いて、心穏やかではないものを覚える。
外観は改装されていることもあって、これが大正年代の古い建物と知らない地元のひとも多いだろう。
ここで吠えても余り人目に触れないと思うが、取上げずには居られない記事である。
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by mago_emon2 | 2013-10-06 22:12 | 伝統的建造物 | Comments(4)  

Commented by R. at 2013-10-07 21:39 x
5年前、鞆の浦と尾道を訪ねました。
その時、(予定は無いのに)「もし、宿泊するなら、どこだろう?」と広島駅付近のホテルを検索した覚えがあります。
そして、どんどん想像とネットサーフィンは飛躍しまして、
「もし、朝食を食べるとしたら、どこのカフェ(喫茶店)?」と広島のカフェを調べました。
それで、一番に登場したのが「アンデルセン」でしたね。
私も(ネット上ですが)、建物、雰囲気に惹かれたのを憶えています。
ただ、そんなに歴史があるとは、、わかっていなかったです。
被曝建造物だったんですね。

保存、維持は難しい問題ですね。
どんなに価値があると周囲が理解していても、例えば耐震基準とかをクリアしていないと、
公的施設はお手上げ状態になってしまいますね。
(それは当然、お金の問題と直結します)
神戸の洋館もたくさん壊されたり、危機を迎えています。

「アンデルセン」、孫右衛門さんはお地元だけに色々お感じになると思います。
多くの課題がうまく解決すると良いんですが、、そうなる事を願っています。
Commented by 孫右衛門 at 2013-10-08 22:08 x
コメントありがとうございます。
アンデルセンはご存知でしたか。地元の人でも、この建物が古い洋風建築であると知っている人はそれほど多くないでしょう。
日本の場合、欧州などと違って建物の寿命も短く、また地震も多いことから古くなると維持が大変になってしまう。仕方ないことですが。
北野町の洋館群も壊されているのですか。去年出張のときよって帰りましたが、余り感じませんでした。保存地区なのに壊さざるを得ない理由があるのでしょうね。
アンデルセンは何とか保存の方向に向ってほしいものです。
Commented by R. at 2013-10-08 23:38 x
孫右衛門さん、すいません。私の書き方が悪かったです;;
「神戸の洋館」は、北野付近の事では無くて、、ポツポツと現存している(していた)他の地区の建物の事です。
例えば須磨の室谷邸は素晴らしいヴォーリズ建築でしたが、既に取り壊されました。
垂水区のジュネス邸(大正時代の建築物)は、今、解体の危機で、跡地にマンションが建設されるかも?といった状態です。
どちらも不動産会社が中に入っていて、自治体も、保存を望む住民も「資金不足」で、買い取るのは難しい、、そういう流れですね。
その他、いくつか民間企業によって保存活用されている洋館はあると思います。結婚式場や、レストランでしょうかね。

目立つ歴史ある建築物でもそうなんですから、私の近辺の小さな町屋などは、気付かない間に、ふわっと消えていくのでは?と、秋のせいか少しセンチメンタルな事を考えてしまいました。。

あ、暑い?秋、と、明日の台風に気を付けて下さいね!
Commented by 孫右衛門 at 2013-10-09 01:34 x
神戸の洋館というと山手地区をまず連想するので、短絡的にそう思ってしまいました。お気になさらずに。
須磨の山手に立派な洋風建築のあることは知っていましたが、あちこちに残るこうした地区として保存されない個の建物は、常に更新の危機にさらされていますね。
こうした建物は所有者が個人の場合がほとんどであり、それを保存せよといっても難しい問題です。
近所のちょっと眼に留まっていた建物がなくなるなんて、呆気ないものですよ。先日も自転車で走っていて、元銭湯だった建物の内部がもぬけの殻になってました。今週末には更地になっているでしょう。

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