鞆まちづくり新局面

福山市鞆町の鞆港埋め立て、架橋計画が白紙に戻った後の同町のまちづくりが、枝広直幹市長の誕生で新局面を迎えた。広島県との連携強化による課題解決に期待がある一方、「地元の多様な意見を聞いて」と求める声もある。地域の将来像を共有し、まちづくりを加速させるか、住民が注目している。
9月に就任した枝広市長は、開会中の市議会本会議で「交通処理や防災対策はまちづくりの根幹」とし、県事業の早期実現に向けて地元との橋渡しに努めるスタンスを説明した。さらに「(架橋の代替案の)山側トンネル案は、しかるべき時期に件から住民に具体的な説明をし、議論をしていただきたい」と延べた。
湯崎英彦知事が約30年来の架橋計画を撤回して4年余り。この間、架橋推進を掲げていた羽田皓前市長との間に溝が生じ、トップ同士の対話がほとんどできなかった経緯がある。一方、枝広市長は9月の就任直後に湯崎知事と面会。鞆のまちづくりを含む課題について、定期的に意見交換していくことで合意した。
市議会からは、連携のスピード感を評価する声が上がる。一方で「市長の交代であたかも前に進む錯覚だと困る。地元と意見交換をし、鞆に寄り添ってもらいたい」との注文もあった。
まちづくり前進の鍵となりそうなのが、市が2017年度中の策定を目指すまちづくりビジョンだ。市は5日、ビジョン策定のための2回目の住民ワークショップ(WS)を開く。枝広市長は海外出張のため参加できないものの、「将来を見据えたビジョンを、住民との合意を元に策定していきたい」と強調する。
住民との徹底した対話と、道路や防災の事業を担う県との連携―。両方のバランスが求められる。
【中国新聞 2016.10.01】

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市長の交代は確かに鞆の町にとって色々な面で好材料だろうが、鞆のような昔ながらの港町には地元民のさまざまなしがらみというか複雑な感情が交錯し、全町民納得という形に着陸するのは難しい。ただそれぞれの機嫌をとって具体的な手を拱いているようだったら、結局これまでと同じことになるだろう。
この問題に関しては私はあくまでよそ者であり、政治の力に委ねるというようなことも私は言いたくない。
ただ交通問題の解消と文化財、古い町並の保存。これが両立する形で早い解決を迎えてほしいと願うだけだ。


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# by mago_emon2 | 2016-10-05 23:03 | 鞆の架橋計画と町並保存 | Comments(0)  

街道の古民家 人集う場に

海田町稲荷町の旧山陽道沿いにある古民家「三宅家分家棟」が10月から、フリースペースとして活用される。3年前に空き家となり、取り壊しの話もあったが、町内のピアノ講師渡部さゆりさん(48)たちが運営グループを結成。所有者が無償で貸し出すことにした。
明治期の建築とされる2階建て延べ約400平方メートル。庄屋としょうゆ製造で栄えた同家の威光を示し、西隣の本家や約30m東の県重要文化財「旧千葉家住宅」とともに歴史的景観を形成している。
空き家となったのを惜しむ渡部さんたちが知人に呼び掛け、40歳代の女性を中心に約10人が準備を重ねた。町の古地名にちなんで建物とグループを「開田庵椿」と命名。毎月2日に市が立った歴史にならい、毎月2,12,22日の午前10時~午後2時半にオープンする。入場無料。茶菓子を有料で出す。展示コーナーは1区画千円で一般に貸し出す。
10月2日は、同家所蔵の美術品を展示するほか、町内の三味線愛好家の演奏会を開く。その後も手作り品の展示即売、紙芝居、手品上演などを計画中だ。
このほか、同家と旧千葉家住宅では、町制施行60周年事業として30日~10月2日と、11月24日までの一部の日曜、木曜に美術展(町教委主催)がある。
「入居者がいないと建物が傷む恐れがあった。町おこしに少しでも役立ててほしい」と建物の所有者。渡部さんは「街道の歴史を味わったり、散策の途中にくつろいだりする場になれば」と話す。
【中国新聞 2016.09.30】

 
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三宅家分家棟(建物内撮影禁止のため、外観のみ)
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旧千葉家住宅
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旧千葉家住宅は厳かな母屋と美しい中庭を持つ。多くの見学客があった。

添付画像は、記事を見て本日撮影したものだ。
三宅家(本家・分家棟)は、旧山陽道沿いに残る古い町並にあってその景観に大きく貢献しているもので、商家や地主として長年活躍された旧家だ。良くぞ取壊されず残ってくれたと感謝したい。
訪ねた時三味線のミニコンサート中で、一旦旧千葉家住宅を訪れた後、再度見学させてもらった。
最近まで生活が営まれていたこともあり、内装は近代的に改装されている部分も少なくないが、柱や木製欄間などはそのまま残っている。また宿役業務に用いられた駕籠、商いをされていた時の帳簿、藩札なども保存され、遺す価値のある建物であり史料である。
町制施行の区切りの年を契機としたこの取組が尻すぼみにならないよう願い、活動を応援したいものだ。

なお、旧千葉家住宅に関しては、「郷愁小路」本編路地裏「重要文化財の建物」で取上げているので以下も参照願いたい。


http://www.kyoshu-komichi.com/jyuyobunkazai04.html


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# by mago_emon2 | 2016-10-02 17:25 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

酒蔵地区景観向上に着々

東広島市は、市の顔ともいえるJR西条駅南側の酒蔵地区の景観向上策を相次いで打ち出す。歴史的建造物の修理などに補助金を出し、道路の側溝を覆う美装化を施す。趣ある町並みを守る気運を高め、課題だった通りの歩きにくさを解消する。
酒蔵地区には明治や大正期に造られた酒蔵や煙突などが集まる。酒蔵関係施設のうち42件は8月、国登録有形文化財になった。
市はこれらの外観を原状に戻すための修理や町並みに調和した改修をする場合、半額を補助する制度を近く新設。所有者からの申請受付けを始める。
(中略)美装化は、酒蔵地区を通る旧山陽道で観光客の往来も多いメイン通りで計画する。計画では来年度、埋設されている上水道管の更新から取りかかり、2018年度に本格着工する。工期は一部区間で検討している電線地中化に取り組む場合は最短で5年、取り組まない場合は同3年と見込んでいる。
美装化は当面、ブールバール(駅前の幹線道)から賀茂泉酒蔵東側までの500メートルを整備する。区間の大半を占める幅約6メートルの道で、側溝にふたをかける。路肩にグレーのブロックを敷き車道と区別する。市都市計画課は「歩く部分が広がり、地域の人や観光客が歩きやすくなる」とする。
電線地中化を検討しているのは、ブールバールから東へ約200メートル。市が今月終えた試掘調査を踏まえ電力、通信事業者たちと協議して年内に判断する。
住民でつくる「酒蔵地区まちづくり協議会」が03年に一帯の美装化を市に提案していた。メイン通りの周辺で一部工事が終わった区間もある。
【中国新聞 2016.09.16】

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西条の町並。旧山陽道沿いや酒蔵家周辺は散策客の姿も多い。

西条の町並はその構成の中心が造り酒屋、酒蔵であることで特殊性が高いといえる。普段から散策客が多く、特に毎年秋に行われる催しでは各酒蔵も公開され、多くの来場者がある。
ただ、景観的には酒蔵群があるから良しという雰囲気があるように感じられ、町並としての連続性の維持・確保や、この記事で触れるような美装化については余り積極的でないように見えた。
今回、市が具体的な計画を示したことで徐々に町並景観としても整えられると思うが、それにしても住民団体が市に提案してから13年も経っているとは、いかにも遅すぎである。
それから後一つは、電線を埋設するのは賛成だが、カラー舗装などを多用して人工的な色が濃くならないことを祈りたい。


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# by mago_emon2 | 2016-09-17 17:07 | 古い町並 | Comments(0)  

御手洗丸ごと「博物館」に

呉広域商工会などは呉市豊町の御手洗地区で「ミュージアム構想」に取り組む。国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されている街並み全体を博物館に見立てて活性化を目指す。初年度は外国人を含む専門家から助言を受け、先進地を視察する。

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構想には、江戸期から続く港町の建物や景観の活用、アピールの工夫、新たな投資を呼び込む仕組みづくりなどを盛り込む。
構想を練り上げる委員会は、同商工会や住民でつくる「重伝建を考える会」、市外の有識者、市の代表者たち26人でつくった。全国商工会連合会からの補助金329万円を構想の立案に充て、来年度以降に実際の取り組みを進める。
9月の会合は英国、米国出身の委員4人も出席。インバウンド(訪日外国人客)の拡大をテーマに話し合った。
「欧州や米国の観光客は旅の中で文化や歴史、建築学を学びたいと願う人が多い。御手洗にはそれが備わっている」「オーディオガイドを使って散策できるようにすればいい」などの意見が出た。酒蔵を結婚式場として、町家をゲストハウスとして活用する全国の先進例も学んだ。
同商工会の村尾征之会長は「地元が気付いていない視点を得られた。地域がにぎわう道を探りたい」と話していた。
【中国新聞 2016.09.10】

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今は本州からは橋により陸続きになっている御手洗地区。しかし何本もの橋を渡りその最奥にあること、そして町並景観とそれにはらんだ歴史性が濃密なことから、独特の探訪価値のあるところのように思える。
陸路の袋小路のようなところなので、ここに目的のある人しか訪ねてこないだろう。
そうした背景を持つこの町並には絶好の取組といえる。
ただ、自治体のこうした活動は宣言したは良いが具体化の段階で企画倒れになることも少なくない。そうしたことはないように願い期待したいものだ。


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# by mago_emon2 | 2016-09-12 22:58 | 重伝建保存地区 | Comments(0)  

上下の宝 リフォームへ

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府中市上下町の代表的な建造物である上下キリスト教会の補修工事が始まった。雨漏りするなど老朽化しており、シンボルであるドーム部分の銅板を張り替える。大規模な補修は36年ぶり。同時に町内にある大正時代に建てられた芝居小屋翁座も補修する。

住民有志でつくる上下まちづくり協議会が、軒の補助金を活用する。教会は江戸末期ー明治初期の建設とみられ、和洋を融合した独特の造り。かつては豪商の蔵で1950年に教会になった。
近年は雨漏りがひどく内部は腐食。町内を見渡せるドーム部分の銅板を張り替え、一部剥がれている東側の外壁と中庭も修復する。本格的な修復は80年以来となる。
翁座は地元の富豪が出資して大正末期に着工した芝居小屋。観光客への一般開放を見据えて自動火災報知機を取り付け、西側外壁を修繕する。
(中略)ひな祭りや白壁まつりでの活用を描く協議会は「歴史的な街並みを整えて、集客につなげたい」としている。
【中国新聞 2016.08.10】
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(写真はそれぞれ上下キリスト教会・翁座)

上下は近年かなり古い町並として意識され、綺麗に整備されている。むしろやや整えられすぎたきらいもあるが、寂れて建物や町並が失われるよりは良い。
上下キリスト教会が戦後しばらく間で商家の土蔵であったことは記事で初めて知った。確かにドームを取
ってつけたような不自然さがある。それだけに接続部の止水性に難があったのだろう。
教会としても現役の建物であり、補修を受けこれからも上下のシンボルであり続けてほしいものだ。
翁座も内部は見物したことがあるが、ここで行われる芝居を一度見てみたいものである。


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# by mago_emon2 | 2016-08-14 16:03 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

酒都の景観守る新拠点

酒蔵会社7社が集まる東広島市西条の酒蔵地区に、古くて新しい建物が姿を現した。「ヒストリアガーデン」。江戸期の土蔵と明治期の家屋の外観はほぼ改修が終わり、酒都の風情に新たな彩りを加えている。

敷地は約300平方メートル。家屋と土蔵はかつて美容室などとして使われていた。観光客が行交う好立地だが、ここ10年は空き店舗の状態が続いていた。
地元の不動産管理会社が再生し、9月上旬の開業を目指す。新たなテナントと郷土史愛好家の活動拠点などを置く計画でいる。
改修工事の設計に当たった同市の1級建築士山田光代さん(38)は、「町になじむ外観を心掛けた」という。しっくいと杉板で壁面に白と黒をバランス良く取り入れた。出格子窓で西条らしさを演出した。
「古いものを生かしたかった。いいものに仕上がった」不動産管理会社の木村浩男社長(61)はそう喜ぶ。今後、外壁には酒造りに関わる人物のパネルなどを飾り、酒都の歴史を広めていく。
酒蔵地区では、以前から景観のルールづくりが課題となってきた。観光資源として風情ある町並みを残すべきだという意見がある一方、JR西条駅前の一等地にあるため、条例などで制限しにくくマンションやホテルが増えた。過去に景観基準を話し合う場も設けられたが、実現には至らなかった。

ガーデンの改修工事を担った地元建設会社の実森尊信社長(41)は、変る西条の町並みに危機感を持ってきた一人だ。酒蔵や蔵を象徴する煙突が減り、「町の個性が消えていく」と思っていた。
2年前には東広島市青年会議所(JC)の事業で、景観について考えるパンフレットを作った。「古里を見つめ直し、どう受け継ぐかを考えてほしい」と、市内各地の風景の写真を盛り込んだ。
ガーデン改修を通して「景観を守ることは町への愛着を守ること」と改めて感じた。「子どもたちのためにも酒の町の個性を守る。そんな意識を広げていきたい」と願っている。
【中国新聞 2016.08.03】

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酒蔵会社の事務所と煙突

西条の町並は造り酒屋群で形成されるという個性的で貴重なものである一方、特に表立った保存活動は行われずに駅前再開発等によって失われた風景も少なくない。町並の残存度の割に観光地的な雰囲気も濃く、そのバランスは決してよいとはいえない状態といえる。
町並全体としての拠点施設ができるのは画期的なことだ。出来れば、駅の西側に点在する旧山陽道界隈の伝統的な建物を含め、保存意識が高まることを願いたい。

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# by mago_emon2 | 2016-08-07 11:41 | 古い町並 | Comments(0)  

白市の魅力 発信拠点に

東広島市は、高屋町に「白市交流会館」を開設した。観光客の休憩場所、地区に残る歴史的な町並みを保存する住民活動の拠点、と位置づけている。
地区の集会所のあった場所に新築した。木造平屋約155平方メートル。しっくい塗りの白壁、杉の腰板と格子、赤瓦が特徴だ。
国重要文化財の木原家住宅など江戸期の町家や家並みになじむ外観に仕上げた。開館時間は午前9時~午後5時。
玄関口の交流スペース約20平方メートルには、地区の歴史文化を紹介する写真やパネル20枚を展示。観光客の休憩所として、トイレとともに無料開放する。
多目的スペース約60平方メートルは、1時間400円でイベントや会議用に貸し出す。住民が1997年に発足させた白市景観形成委員会の活動拠点となる。
事業費は約6500万円。都市計画課は「まちづくり活動の活性化を図り白市の魅力を発信する場にしたい」とする。
【中国新聞 2016.06.20】

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白市の町並
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木原家住宅(重文)

白市地区は私が初めて訪ねた15年余り前は、重文木原家住宅は公開されていたものの、外部の者を案内するような看板類も一切無かった。徐々に市や地元の意識の高まりがあって、外来者用の駐車場や案内標識の設置が行われるようになった。
伝統的建造物が広範囲に残っているというほどではないが、質感の高い建物が残り素朴さも感じられる良い雰囲気の町並だ。
この施設が町並探訪に訪れた人の情報拠点となることを願いたい。

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# by mago_emon2 | 2016-06-20 21:53 | 古い町並 | Comments(0)  

市交流館 来月会館(三次市)

三次市三次町の旧酒蔵場「雪心本店」に6月1日、同市で青春時代を過ごした人形作家辻村寿三郎さん(82)の工房が入り、町の歴史資料を展示・紹介する文化施設「三次地域交流館」が誕生する。石畳の町並みが残る同町一帯のにぎわい、再生を図る目的で、市が整備した。
交流館は、町家風の木造2階建て延べ約310平方メートルで、1階は辻村さんの捜索工房と、三次人形などの歴史資料の展示スペースとなる。2階は未定。市が所有者から無償で譲り受け、1階の土間部分約100平方メートルの床や壁などを約2300万円で改修した。
辻村さんが東京都から三次市へ今春移住したものの、市内の病院で病気療養中のため、当面、アトリエジュサブロー代表の川崎員奥さん(68)が創作工房を運営する。
同町の三次本通りに2013年10月、辻村さんの作品を展示する人形館が開館。松本和男副館長(68)は「人形館と交流館を往来する人たちで三次本通り一帯にかつてのにぎわいが生れれば」と期待する。
交流館は市直営施設で、同町の栄町自治会に管理業務を委託する。午前9時~午後5時。水曜休館。特別展の開催や創作スペースの使用などは有料。(後略)
【中国新聞 2016.05.24】
※記事のヘッドの見出しは、「寿三郎作で三次に活気」

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三次の町並(地域交流館予定地付近)


三次市は川運で商業が栄え古い町並も残るところだ。このところ地元も随分意識され、探訪客も増えているようである。
この二つの施設により、三次の歴史そして町並の魅力が広く知れ渡り、更に保存への気運が高まることを期待したいものだ。
なお、記事に「石畳の町並みが残る・・・」とあるが、これは最近になって石畳的な舗装が施工されたもので、歴史的なものではない。

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# by mago_emon2 | 2016-05-25 21:03 | 伝統的建造物 | Comments(0)