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福山の鞆 重伝建に

国の文化審議会(馬渕明子会長)は20日、江戸時代からの港町の町並みを色濃く残す福山市鞆町中心部の8.6ヘクタールを重要伝統的建造物保存地区(重伝建)に選定するよう、林芳正・文部科学相に答申した。本年度中にも答申通り告示される見通し。広島県内の重伝建は3件目となる。
国が伝建制度を設けた1975年当初から重伝建の候補とされ、市教委は同年に歴史的町並みの最初の調査を実施した。だが、町並み保存を、鞆港埋め立て・架橋計画による道路課題の解決と一体で目指した経緯もあり、選定まで40年を要した。
万葉の時代から潮待ちの港として栄えた鞆町。廻船業で繁栄を極めた江戸中期までに整えられた地割を保ち、伝統的な本瓦ぶきの町家や寺社、港湾施設などが一体となって残る。国重要文化財の太田家住宅は代表的な商家だ。
答申は「瀬戸内の港町としての歴史的風致を良く伝え、わが国にとって価値が高い」と評した。
福山市教委は、地区内の昭和30年代までの町家や土蔵、塀など281棟のうち、所有者の同意を得た229棟を将来にわたり保存する伝統的建造物に特定している。
中国地方ではこれまでに、竹原市竹原地区(製塩町)や呉市豊町御手洗地区(港町)、大田市大森銀山(鉱山町)など15地区が重伝建に選ばれた。文化審議会は今回、他に武家町の大分県杵築市北台南台の選定も求め、重伝建は全国で117地区となる。
【中国新聞 2017.10.21】

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重文・太田家住宅

建物や町並、港の景観などに保存地区級に十分値するものを有していた鞆。鞆の重伝建への動きは40年前から始まっていたとのことで、私の中でも古い町並関連での大きな関心事であったが、ようやく実現することになりそうだ。
その経緯は、私が以前取りまとめたものに簡単に掲載しているので、参考までに→ 
http://www.kyoshu-komichi.com/tomo2.html

周囲からも重伝建選定を求める声は強かった。2002年、「全国町並ゼミ」がここで開催され、私も参加していたのだが、その会で採択された「緊急アピール」でも強調された。
一方で、町並保存と一体とされてきた架橋案を含めた道路整備が進まず、交通問題が残されたままであり、住民の中には町並保存だけが進むことに対する違和感を持つ方もいると聞く。それらの課題の解決も必要だが、とにかく近年鞆を訪れる客が急増した中で、その最大の魅力であるはずの伝統的な建物が失われる一方なのは非常に問題である。鞆の場合市の独自の事業などもあり、空家も比較的少なく根こそぎ失われるといった状態にならなかったのは幸いだったが、これでようやくスタートといえるだろう。重伝建選定によって、今後町並・町家保存がどのような具体的な動きを始めるのか、注視していきたいところだ。


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by mago_emon2 | 2017-10-22 15:24 | 鞆の架橋計画と町並保存 | Comments(0)