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上下の空き店舗白壁に改修へ

府中市のNPO法人アルバトロスが、白壁の町並みで知られる同市上下町の商店街で、木造の古い空き店舗1軒を改修する。県、市の補助を受け、タイル張りの外観を白壁に戻す。その後、店舗内にイベントスペースや、貸し出し用の区画などを整備する構想で、移住者を呼び込む拠点としたい考えだ。
木造2階建て(延べ745平方メートル)の1階の一部で、所有者が雑貨店「瀬川百貨店」を経営していた。しかし高齢などを理由に2年前に閉じ、転居した。住居だった部分は瓦ぶきの屋根やなまこ壁の和風の造りのままだが、店舗の通りに面した壁は改装され、タイル張りでアルミサッシの窓枠も取り付けられている。
同法人は所有者と協力し、店舗部分を格子窓や白壁の外観に戻す計画。また、住居部分のアルミサッシの窓も格子窓にする。10月に着工し、商店街が舞台となる「上下ひなまつり」開幕前の来年2月の完成を目指す。
その後、奥行きが約60メートルある店舗内の整備を進める予定で、イベントや移住者の出店などの受け皿にしたい考えだ。外観の改修費約1千万円は、定住促進や創業支援関連の県、市の補助で賄う。
市の地域おこし協力隊でもある同法人の藤原幸大理事長(28)は「景観づくりとともに人を呼び込む土台にしたい。将来的には、奥行きのある店舗内が小さな商店街のようになれば」と意気込む。
【中国新聞 2015.09.29】

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改修が計画される建物(右から2軒目)

上下の町並は石見銀山からの銀を輸送する街道沿いの拠点として江戸時代より大変な賑わいを見せ、現在でも重厚な古い町並を残す貴重なところだ。
近年、この建物が面する旧街道沿いは整備され、町並探訪の対象としても遜色のない体裁が整えられた。
この建物、商家建築に挟まれいかにも地味であり、またやや町並の連続性という点でやや異物感を抱かせる1軒でもあった。
格子や白壁の外観も、この建物がもともと持っていたのであれば、改修しても違和感は無いものとなろうし、鰻の寝床と形容される間口の割に非常に深い奥行を持つという独特の構造は、町を歩いただけではわかりにくい。建物内を確認してあらためて驚くことである。
藤原理事長の狙いの一つがそこにあるようで、今後注目していきたい。
町並景観上でも、この1軒がらしさを取り戻すだけで随分違うものになってくるだろう。

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by mago_emon2 | 2015-09-29 23:48 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

旧街道の活性化 老舗新社長誓う(可部・旭鳳酒蔵)

広島市安佐北区可部の旧雲石街道沿いにある旭鳳酒蔵の社長が26年ぶりに代わり、専務だった浜村洋平さん(26)が就いた。旧街道一帯はかつて酒蔵や山繭問屋が多く並び、にぎわったが、今は空き家などが目立つ。浜村さんは酒造りとともに街道の活性化を誓っている。

1989年から社長を務めていた父親の泰司さんが6月30日、肺炎をこじらせて64歳で死去。長男の浜村さんが7代目の社長に昇格した。同社は江戸時代の1865年創業。地下水に恵まれた可部は古くから醸造業が栄え、戦後は旧街道沿いに蔵元が4軒あったが、久保田酒蔵(同区)など2軒になった。
旭鳳酒蔵は、旧街道沿いで散策客に楽しんでもらう住民主催のイベント「町めぐり」に毎年協力し、蔵元コンサートを開くなどしてきた。浜村さんは「人とのつながりが大切と父に教わった。地域との絆を強める姿勢はこれからも変わらない」と強調する。
同地区の住民グループ「可部夢街道まちづくりの会」の調査によると、旧街道には昭和初期、南北約1.5kmに民家や商家が計281軒あったと推定されるが、ことし3月には同社を含む37軒しか残っていないという。風情ある町並みが損なわれる懸念が広がる中、梶川暢之副会長(81)は「可部の老舗。若社長らしく、旧街道のまちづくりにも新風を吹かせてほしい」と期待している。
【中国新聞 2015.09.19】

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旭鳳酒蔵(2014.10撮影)

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酒蔵コンサートの様子(2011.10撮影)

旭鳳酒蔵は、可部の旧街道沿いにあってランドマーク的な建物だ。そして記事にもあるように最近恒例となっている秋の町めぐりイベントに際しては、土蔵を利用したミニコンサート、酒の試飲などが行われ主な会場の一つとなっている。
古い町並や伝統的建物の保存、まちづくりといった取組に関しては、地元の年配者、または学識者などが主導になる印象が強く、実際そのような例が多い。
将来にわたり、町並に新しさを取り入れながらも歴史を感じるものにしようとするなら、一度きりの対策では不十分だ。年配者ばかりの動きでは、一度はそのような気運が高まっても、次の世代にどのようにその精神を伝えるかといったことも問題になってくるだろう。
町並の中心的存在といえる造り酒屋、この若い社長に大いに期待したいところだ。

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by mago_emon2 | 2015-09-23 15:35 | 老舗・伝統産業 | Comments(0)  

宮島「重伝建」へ条例案

世界遺産の島・宮島(廿日市市)の中心部を国の重要伝統的建造物郡保存地区(重伝建)選定につなげようと、市は8日、目的などを定めた保存条例案を市議会定例会で提案した。地区内の物件は約2割が空き家で、保存対策が急務。市は制度の枠組みづくりと並行して、定住促進や景観モデルといった、まちづくりの具体策を住民と連携して検討していく。

市が、「厳島神社門前町」として保存を目指す範囲は、町家通り一帯から大願寺、大聖院にかけての約18ヘクタール。江戸時代からの町家が点在し、宮島に特徴的な建築様式も残る。
市の計画では、選定後に地区内の建築物を増改築などする場合、伝統的建造物は往時の姿に、それ以外の建造物は調和した外観に持ち主が整備する。市は基準に応じた補助金を交付する。
市歴史まちなみ推進室によると、地区内の物件総数は約600件で、うち約130件が空き家となっている。住民からは「建て替える際の具体的なイメージがわからない」などの声もある。
福岡県八女市の八女福島地区では2002年の選定後、住民たちが複数のNPO法人を設立。伝統建築の設計や施工を地元の技術者が担い、空き家の持ち主と入居希望者をつなぐ役割も担う。
市は条例制定後、有識者や住民などでつくる保存審議会を設置する方針。同室は「制度を生かすためには民間も交えた保存会が必要。宮島ならではの活動を見いだしたい」とする。
【中国新聞 2015.09.09】

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町家通りの町並

観光で訪ねる人には余り知られていないだろうが、町家通りと呼ばれる土産物街の山手の筋には伝統的な町家建築や旅館建築があり、学生グループなどによる独自調査が続けられていた。また大聖院の門前地区には厳島神社の神職を務めた社家街が残るところだ。これらの地区はいずれも観光客の主な流れとは少し外れた位置にあることで、外向きにおもねるような感じにならず比較的そのままの形で保たれてきたのだろう。
単に古い家並が連なるだけでなく、歴史性に裏打ちされた町並であることからも、重伝建に相応しいものがある。今後の動向に注目したい。


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大聖院門前の社家町
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by mago_emon2 | 2015-09-11 23:09 | 重伝建保存地区 | Comments(0)