重伝建選定 今秋目指す

福山市の枝広直幹市長は12日、鞆町の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)選定に向け、必要とされる地区の保存計画を7月末に策定後、すぐに国に選定を申請する方針を明らかにした。今秋の国の文化審議会での重伝建決定を目指す。
枝広市長は記者会見で、「保存計画の告示を受けて間髪入れずに選定を申し出る。遅れると大切な議会を逃す可能性がある」と述べた。伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の保存計画は、伝建地区保存審議会が10日、市教委に答申した。7月末の市教育委員会議で議決、告示される見通しとなっている。
重伝建選定について「鞆地区の価値を大きく上げる」と強調。一方、地元住民に生活制約の不安があることについては、説明を重ねて住民の不安を取り除く考えを示した。
文化審議会は例年、重伝建選定に関する文部科学大臣への答申を10月と5月の2回している。市教委は文化庁などと協議し、10月の答申に間に合うように申し出る方向。文化庁は「選定の申し出があれば、客観的に、公平に手続きが進む」としている。
【中国新聞 2017.07.13】

昨日の市教委への答申の記事の続報。
毎年いつの間にか重伝建選定を受けるところが増えているように思うが、そのプロセスは簡単なものではないことを感じる。
鞆の場合、長年障害になってきた道路改修計画とともに、住民感情という点も小さくないようだ。


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# by mago_emon2 | 2017-07-13 22:53 | 鞆の架橋計画と町並保存 | Comments(0)  

鞆の伝建保存計画を答申

福山市鞆町の伝統的建造物保存地区(伝建地区)の保存審議会が10日、地区内の建築物や門、塀など約280棟を守る保存計画を市教委に答申した。国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の選定に必要な保存地区と保存計画の二つが定まった。市教委は文化庁などと協議し、早期の重伝建選定の申し出を目指す。

伝建地区は町中心部の8.6ヘクタール。舟運による商業地として栄えた港町の特徴を残す。計画では、江戸期から昭和30年代までの町家や土蔵など281棟、船をつなぐ石や石灯籠など85件を伝統的建造物に特定した。
伝統的な建造物の場合は原則、建造物の歴史を踏まえて修理や復元。それ以外の新築や改築も、木造で瓦を使うなど景観向上に努める。修理や修景は助成対象となる。町並保存センターを整備し、情報発信や修理・管理の相談窓口を担う。地区住民による保存会も設立する方針。
鞆港埋立て・架橋計画の撤回で課題とされる道路整備については、「歴史的な形状や幅員の維持に努め、交通の円滑化と安全性の確保を図る」とした。車両の進入を一部制限することなどを検討する。
審議会は2002年に一度、保存計画を答申したが県道拡張の都市計画を廃止できず、告示できなかった。市教委は近く、答申を伝建地区内の住民に説明し、7月下旬の教育委員会議に諮問する方針。可決後に保存計画は告示される。
審議会の鎌田輝男会長は「重伝建選定の申請につなげ、住民の協力を得ながら町並みを保存していきたい」と話した。市教委文化財課は「なるべく早く選定の申し出ができるようにしたい」としている。
重伝建は現在、全国で114カ所。中国地方には竹原市竹原地区、大田市大森銀山など15カ所があり、廿日市市宮島も選定を目指している。
【中国新聞 2017.07.11】

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3月末に示された重要伝統的建造物群保存地区への動きは、『5月中に答申を受け、6月に告示』という計画であり、それより若干の遅れが生じているものの、概ね順調といえるのではないか。
それにしても住民の総意を同じベクトルに向けようとするのはいかに難しいことか。新聞記事をはじめとしたこの鞆の問題をずっと見てきて感じることだ。


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# by mago_emon2 | 2017-07-11 22:14 | 鞆の架橋計画と町並保存 | Comments(0)  

尾道3小 進まぬ耐震化

尾道市中心部の3小学校(久保・長江・土堂)の校舎耐震化について、市教委の方針決定が遅れている。2016年度中の決定を目指したが、敷地が土砂災害警戒区域に指定される可能性などが出て先送りに。一方で、戦前に建てられたコンクリート建物の景観的価値を指摘する声もある。

同市立の小中学校は約40校。3校を除き、いずれも耐震化を終えるか、めどが立っている。市教委は市議会などで、16年度中に3校の耐震化の方針を決めると説明してきた。
3校とも経年劣化で鉄筋の腐食などが進む。市教委が14~16年度に実施した診断では、久保小(1933年築)は耐震補強可能の判定。長江小は管理教室棟(64~66年築)がコンクリートの弱い部分を壊せば補強可能、特別教室棟(67年築)は補強不可能と判定された。土堂小は37~64年築の3棟がいずれも補強可能だった。
だが、市中心部の斜面地にある3校は、工事車両の進入路や仮設校舎建設の際の代替グラウンド確保などの課題がある。市教委の安藤文夫学校施設整備担当主幹は「工事による住民生活への影響も考えなければならない」とする。
さらに、広島土砂災害を踏まえて県が進める調査で、土砂災害警戒区域などに指定される可能性もある。「災害時の避難所としての適正も考慮する」と安藤主幹。県は市教委の要望を受け、18年度に予定する3校学区の調査を前倒しする検討を進めている。市教委は調査結果を待ち、方向性を決める方針だ。
市教委は当初、久保小と土堂小が歴史的建造物であることを考慮し、外観に影響を与えない耐震補強を模索していた。現在は外観にこだわらない形で検討している。
歴史ある建物は尾道の景観をつくってきた。福山市立大都市経営学部の西川龍也教授は「土堂小は中世から現代までが混在する尾道らしい街並みの一部。校舎の下を生活道路が走る景観も独特」モダンな外観で、御影石製の手すりなどを備える久保小についても「文化財として活用する価値がある」とする。
西川教授は「安全性が重要」とした上で、「他の自治体では博物館に転用するなどの例もある。斜面地全体のビジョンを持つべきだ」と訴える。市教委の松尾寛教育総務部長は「市の考えを押しつけるのではなく、地域の方々と一緒に考え、理解を得ていきたい」と話す。
【中国新聞 2017.05.14】
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土堂小(2016.6撮影)

学校建築というのも、例えば明治期に建築された一部の建物は国重文にもなるなど、時代の先進を象徴するもの、地域のシンボルでもあったことで保存の対象になる事も少なくない。
昭和に入ってからの学校建築でも、洋風建築的価値のあるもの、また戦災復興などの目的別の貴重さから、もはや伝統的建造物としての価値を持っているものも少なくない。
加えて地域の住民にとっては、この建物で学んだという思い入れは他の建物よりひときわ強いのは言うまでも無く、建て替えには抵抗を覚える人も多いだろう。
いうまでもなく耐震性は低いこれらの建物、建設当時とは違い周囲に施工が困難といった個別の事情もあり、残すことを最優先というのはやはり様々な困難があるのだろう。
残すかなくして新しくするか、自治体の采配いかんとなるのだろうが、私の個人的な思いとしてはやはり残す方向で考えてほしい。


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# by mago_emon2 | 2017-05-14 20:55 | 伝統的建造物 | Comments(0)  

御手洗町並み魅力広がる


呉市豊町の御手洗地区に3月下旬、空き家を改築したゲストハウスと懐かしのおもちゃが並ぶ博物館が相次ぎオープンした。国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の町並みに新たな魅力が加わった。

ゲストハウス「旅籠屋 醫(くすし)」は、地区内でカフェや画廊を経営する企業が開いた。10年前まで診療所だった築100年を超える建物を改築。内装は、赤土の壁と内部からのぞく竹をあえて見せるなど、「建物の物語を感じられる演出」に工夫を凝らした。
2階に2段ベッドを6台並べたドミトリー式で、2人用の個室1室も備える。1泊3456~8640円。同地区には常時利用できる宿泊施設がほとんどないという。井上明代表(38)は、「島で見る朝日や満月の美しさは、泊まって初めて実感できる」と話す。
「旅籠屋 醫」の南西約100メートルには、木造2階建ての町家を改装した「御手洗昭和館」が開館した。近くにある大東寺の関藤一暁住職(54)が20年にわたって集めたおもちやや文具約5千点を並べた。木製の野球盤や世界初の無線操縦カー、江戸期の泥メンコなどの逸品もある。
ショーケースには地元の商店などが使っていたものなどを利用した。関藤さんは「江戸期からの町並みを求めてくる人々の郷愁をさらに呼び起こしたい」と話す。一般300円、小中学生200円。火曜日休館。
地区には年間5万人が訪れる。呉広域商工会などは町並みを丸ごと博物館と見立てた「ミュージアム構想」を掲げ、インバウンド(訪日観光客)を含めた誘客に取り組んでいる。
【中国新聞 2017.04.15】
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ゲストハウスとして整備される旧医院の建物

保存地区の大崎下島御手洗地区は確かに宿泊できる施設がなく、ほとんどの探訪客は日中の短時間の滞在で地区を去ってしまう。
しかも現在は橋により陸続きになっているとはいえ、袋小路の奥にある御手洗地区にはそれなりの動機がないと足を向けることはない。
町並の魅力を多くの人に知って貰うには、ある程度の集客対策も必要になるだろう。そんな中でこの「御手洗昭和館」はある一定の吸引効果があるだろうし、町並景観に与える影響も少ないので好例といえるし、私も次回機会があれば訪ねたい。
ただ、ミュージアム構想のもとに半ばテーマパーク状になることは避けなければならない。そのあたりのバランスは非常に難しいものだが、絶好の素材があるわけだから、それを最大限に生かしたものにしてほしいものだ。


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# by mago_emon2 | 2017-04-16 20:36 | 重伝建保存地区 | Comments(0)  

白壁レストラン半年ぶり

昨年10月の地震で大きな被害の出た倉吉市の白壁土蔵群で、国登録有形文化財の建物を利用したレストラン「白壁倶楽部」が約半年ぶりに営業を再開した。伝統的建造物群保存地区のシンボル施設の再建に、地元関係者は「復興への弾みに」と期待を寄せている。

白壁倶楽部は1908年建設の旧国立第三銀行倉吉支店を活用し、同市の社会福祉法人「和(なごみ)」が2011年3月、障害者が働く福祉サービス事業所として開設した。土蔵造り2階建てに50席を設け、障害者6人と職員5人で運営。地元の食材を使ったランチやディナー、レトロな店内が特徴で、観光客や住民たち年間約2万人の利用があった。
昨年10月21日に同市で震度6弱を観測した地震により、内外壁が大規模に崩落したため、近くに仮店舗を設けて営業していた。県と連携する日本財団から約2100万円の補助を受け、12月から壁の修復や耐震化を進めていた。八渡和仁施設長は「被災した住民の励みになれば」と話している。
【中国新聞 2017.04.04】
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旧国立第三銀行倉吉支店(2009年撮影)


この旧銀行の建物は、倉吉の古い町並の中心からはやや離れているため一般の探索客は、もしかすると訪ね損ねている方もあるかもしれない。しかし、その歴史もともかく独特の外観もとても貴重なもので、レストランとして活用されているのも最近知ったことなのだが地震に耐え営業を再開されたという報せは嬉しい。
なお、倉吉の古い町並というと、この記事にも書かれているように白壁土蔵群ばかりが注目されるのだが、これは商家の裏手に当たる部分であり、表の主屋のたたずまいに実際重厚な見ごたえがある。地震前の健全な姿を取り戻せる日が早くやってくることを祈るばかりだ。


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# by mago_emon2 | 2017-04-05 23:19 | 重伝建保存地区 | Comments(0)  

生活道整備か景観保存か 架橋撤回 知事、鞆で説明

鞆港埋め立て・架橋計画の撤回について、鞆小で開かれた2日の湯崎英彦知事による地元説明会。住民からは架橋計画の賛否そのままに、湯崎知事への批判と評価の声が飛び交った。生活道路の整備か、景観や町並みの保護か―。相いれない形で、それぞれの思いが色濃くにじんだ。

「命の道を断ち切った。代わりになる生活道路を身をもって考えてほしい」。鞆港西側の平地区の住民たちは、狭い道幅や地域の衰退など、生活道路に関わる課題を指摘。架橋計画を撤回した理由説明に、納得できないとする意見が続いた。
代替として示す山側トンネル案について、商店経営武内孝之さん(40)は町内の交通量が減ればコンビニなどの経営が厳しくなると懸念し、「地元の生活を何も理解していない」と憤った。途中退席した無職男性(72)は、「トンネル案の安全対策が聞きたかった。昔から鞆で生活する住民の声を聞いていない」と不信感をあらわにした。
架橋反対派の住民を中心に、計画撤回を「知事の英断だ」と理解を示す意見も相次いだ。県の事業案に多くの部分で賛同という無職平田由紀さん(58)は「鞆の景色や町並みという財産を、次世代にそのまま渡したい」と受け止めた。
約2時間半、対立し続けた意見に、戸惑う人も。鞆町育ちの大学生女性(21)は「住民側の時が止まっている。もっと未来のことを話し合う場であってほしかった」と肩を落とした。飲食店経営の箱井琴子さん(65)は「架橋賛成、反対どちらの意見も分かる。住民同士がいがみあっていても前に進まない」と懸念を口にした。
【中国新聞 2017.04.03】
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鞆の町並の南西端付近。平地区はこの先にある。


鞆の町中にある県道の幅員の狭い区間。一言でいえば、これさえなければ一連の架橋埋立て計画に対する論争が生じることもなかったわけだ。
この狭小区間の影響をまともに受けるのが、鞆地区の中心の南西側にある平地区。一方で観光ホテルなどもある東海岸地区などは、賛成でも反対でもないという住民も少なくないのではないだろうか。
この知事訪問を控えた3月29日の記事にも取上げられている。
そこには、平地で将来の架橋を睨んで宅地や畑が県に買収された歴史も紹介されている。古くからの港町・漁師町であり、代々の住民の先祖からの思いもあるだろう。
地元のしがらみ的なものを全て汲むのは当然無理がある。住民一戸一戸の負う歴史、思いは一つとして同じものはないだろうし、全住民が満足する解決策はあるはずはない。
ただこのまま手を拱いていてもいいはずは無い。
そしてこの論争によって、古い町並の保存が遅れに遅れていることが何よりも気がかりだ。
今年になって、ようやく重い舵が切られたようだが・・。


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# by mago_emon2 | 2017-04-03 21:50 | 鞆の架橋計画と町並保存 | Comments(0)  

鞆の伝建保存計画諮問

福山市教委は27日、同市鞆町の伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の保存計画を、学識経験者や地元住民たち15人でつくる保存審議会に諮問した。計画は、港町の繁栄の歴史を物語る建造物などを保存し、将来に伝える目的で策定。国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)選定に向けた重要なステップとなる。
伝建地区は町中心部の8.6ヘクタール。江戸時代の町家などの歴史的建造物と港湾施設があり、商業都市として栄えた港町の特徴を残す。計画案では、地区内の主屋や土蔵、門塀など280棟を保存すべき伝統的建造物の候補とした。石灯籠や船をつなぐ石、石垣などの工作物も定めた。
町並み保全のため、建設行為の許可基準を設ける。伝統的建造物を修理する場合は原則、建物の歴史を踏まえて復元。それ以外の建物の改築の場合も、屋根や壁を町並みと調和させる修景基準を設定した。修理と修景は助成対象となる。
ほかに、保存・管理の相談窓口となる施設の整備、所有者の組織「町並み保存の会」の設立などを記載している。
審議会は2001年度に一度、保存計画を答申したが、県道拡張の都市計画を廃止できず、告示できなかった。会長に就いた福山大の鎌田輝男名誉教授は「重伝建としての価値は十分にある地区。保存計画をまとめ、国の選定につなげたい」と話した。
今後、審議会を2回ほど開いて計画内容を詰めるとともに、地元住民の意見も聞く。市教委は5月中に答申を受け、6月に告示する方針。
【中国新聞 2017.03.28】

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今年になって、町並保存の側面で鞆はようやく本格的前進を始めた。
もちろん重伝建選定が達成できればそれがゴールではないが、鞆の場合、選定に匹敵する建物群の質と量は十分満たしており、町並の保存という面では大前提といえるので、まずはそこを足掛かりにし、貴重な伝統的建物が失われるのを食い止めてほしいものだ。
ぜひとも、本年中に実現してほしい。


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# by mago_emon2 | 2017-03-28 21:52 | 鞆の架橋計画と町並保存 | Comments(0)  

賀茂鶴・白牡丹の関連施設 国登録文化財へ

10日の文化審議会の答申で、東広島市西条地区の酒造2社の関連施設29件が国の登録有形文化財に登録される見通しとなった。昨年8月に登録された5社42件と合わせ、同地区にある酒造全7社の施設がそろった。
いずれも江戸中期から昭和期にかけて造られた。賀茂鶴酒造は、木造2階建て洋館の本社事務所やれんが造りの煙突4本など19件が登録される。藤原昭典社長(64)は「まちづくりや観光に生かしたい」と喜んだ。
白牡丹酒造は、延宝蔵南端棟や大正期に建てられた町家の母屋など10件が認められる。島治正社長(51)は「施設を守り続ける責任の重さを痛感する」と話した。
こうした文化財は、一帯が宿場町から酒造地に変遷した歴史を伝える。市教委は今後、同市黒瀬町などの酒造関連施設の登録も目指す。
【中国新聞 2017.03.11】
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賀茂鶴酒造事務所

西条の酒造地区は、私個人的な感想では古い町並としての魅力よりも酒都の観光要素としてのイメージが勝ってしまっていて、少しランクは下がってしまう。しかし個々の酒蔵や事務所、煙突のある風景は独特のもので、それらが登録文化財として認められたのはうれしいことだ。
これらの建物があることで酒どころとしての価値も高まると思う。希望を言えば駅を挟んで西側の街道沿いの伝統的建物も巻き込んでの動きを期待したい。


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# by mago_emon2 | 2017-03-11 22:37 | 伝統的建造物 | Comments(0)