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赤瓦と海原 息のむ対比(江津市)

波子町の入り組んだ狭い路地を歩いていると、突然、青い海、白い雲と赤い屋根が織成す光景が飛び込んできた。学生時代、バックパックを背負って旅した地中海沿岸の古い町並みが頭に浮かび、思わず眼を細めた。
ただ、地中海が赤れんがの町並みならば、ここは県西部特産の石州瓦だ。JR波子駅周辺の住宅街は、住宅の約7割に輝きを放つ瓦がある。
近くの駐車場に車を止め、木漏れ日の遊歩道を5分ほど歩くと、石見大崎鼻灯台がある。冬には厳しい波が打ち寄せる山陰の海だが、晴れた日は驚くほど穏やかな表情を見せる。東西に延びる海岸線を眺めていると気持ちいい風が塩の香りを運んできてくれる。
「世界のどこに出しても恥ずかしくない景色」と同町の波子まちづくり活性化協議会の黒川光憲会長(67)。心の中で地中海と比べていた自分を恥じ、しばし、見渡す限りの大海原を楽しんだ。
【中国新聞 2016.05.03】

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波子の町並より

島根県は西部を中心に赤褐色の瓦が印象的な地域だ。私もこの波子を訪ねた際、石州瓦の密度の高さとその前面に広がる日本海岸の景色との調和が絶妙で、美しい集落であると思った。そして何より、その貴重さに地元が気付かれ、独自のまちづくり組織で活動されているのを見て頼もしさを感じた。
記事の筆者はかつて地中海を旅した折の光景とを重ね合わせているが、この独自の集落景観的魅力に改めて気付かされ、それを恥じている。石州瓦の家並はそれほどの価値あるものなのか、私も再認識する必要があるのではと思わせた。

by mago_emon2 | 2016-05-03 21:00 | 古い町並  

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